レナウン経営破綻に思う

レナウンが経営破綻した。ついに来たかというのが私の感想だ。
恐らくこれからアパレルも飲食店と同じように厳しいフェーズに突入することになるだろう。
特にリアル店舗に頼ってきたアパレルで、中間価格帯をメインにしてきた会社が危ない。

中国ではリベンジ消費ということで、今、各地でネット、リアルともに消費が盛り返してきているようだが、その中心は若い世代だ。彼からは元々、アパレルにはそこまでの興味はなく、今のトレンドはスポーツ関連ブランドである。
レナウンのような百貨店を中心にしたファッショントレンドを追いかけながら、中価格帯で展開するブランドには若者は動かない。その動きがミドルからシニアにも広がってくる。
特にこれからは在宅勤務など家にいる時間が増えてくる。そうすると、外出着と言われるものの需要が落ち込むのは必死である。
またアメリカでも売れているのはブラウス、セーターなどの上半身が中心とか。つまり、TV会議で見えるところだけに気を使っているのだ。
このようにニーズに合わせて消費が変化するということは、在宅での生活にはニーズ、ウオンツが発生するが、外出、特に会議、打ち合わせ、会食などでのニーズは極端に減る。

確かにこれから外出自粛が解除されて、日本でも一時的にはストレス発散諸消費は起きるだろう。しかしその消費としてお洋服を買う人がどれだけいるのであろうかと私は思う。
元々、小売の世界に36年もいた私がそう思うのである。人と会わない生活を2ヶ月近くしてきた自分の経験でいうと、アパレルにお金をかけようと思ったことはない。一方でジョギングやヨガのウエアをネットで買うことが増えた。しかしながらお金はかけない。もっぱら、私の最近のお気に入りはデカトロンだ。
https://www.decathlon.co.jp/
デカトロンはフランス発のスポーツ製品のユニクロみたいな企業で、シンガポールではまってしまった。
とにかく安い、しかもデザインが良い、でスポーツの種目が半端なく多い。私の趣味である、ジョギング、ゴルフ、ヨガ、ウインドサーフィンの全てに対応している。
そしてそのウエアで買い物にも行けるし、家着として問題ない。

今後の、仕事着を考えても、もはや今のようなフリーランスが主流になると、スーツを着る機会はほとんどないのではないかと思うぐらいである。するとカジュアルウエアで全然問題ない。
これまでは生活がカジュアル化してきたということがよく言われてきた。今、仕事の仕方そのものがコロナによって大きくカジュアル化させられた。家からリモートで打ち合わせしているのに、スーツを着て参加するわけがないし、それが当たり前になると、外部との打ち合わせもそうなるのが自然だ。飾らない生活スタイルには中途半端なブランドは必要ないのである。

つまり、アパレルそのものの需要が今回のコロナで大きく減少し、それが常態化すると私は見ている。
そして、これからはより健康志向(コロナに負けない抵抗力をつける)を中心とした生活関連のグッズがさらに注目される。


今朝、テレビでジャパネットたかたがケルヒヤーのスチームクリーナーを紹介していた。私のような家にずっといると、確かに家のフローリング、網戸、ドアノブなどの汚れが気になってきていた。思わず真剣に買おうかと思った。
この時期にこの商品の提案こそが顧客のウオンツを引き出して、「あ、そうそう、これが欲しかったんだ」と思わせることができるやり方だなと、感心した。

今からの時代、アパレルだからお洋服だけしか作らないという時代は過ぎた。顧客のライフスタイルの変化に対応して、すぐに方向転換する力がなければ、第2のレナウンはどんどん増えていくなと感じる。


個人的に一番気になるのは、百貨店アパレルが潰れると、一番困るのは百貨店である。そしてもしオンワード樫山、三陽商会が同じように危機になれば、百貨店の婦人服売場がガラガラになってしまう。最悪のシナリオはアパレル企業を起点にした百貨店連鎖倒産である。
都心にもうオフィスは要らないということが言われてきたが、都心にもうこれまでのような百貨店は要らないとなるのだろうか。
まだ打つ手はあると思うが。。。

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