小売り業にはアートが必要、それを創るのは人だ

オンライン、メタバース、TIKTOKに振り回されないで、小売りの王道をしっかりやる企業も必要だ

アマゾンが実店舗の本屋を閉める一方で、老舗のバーンズアンドノーブルは実店舗を増やして再び成長している

今回のROBIN REPORTではまたアマゾンが取り上げられている。
相次ぐリアル店舗の失敗でアマゾンはなかなかネットとリアルの融合で成功事例を生み出せていない。

筆者はアマゾンのジェフベゾスを流通革命の天才と称賛するが、小売りの天才とは呼ばない。彼はいつも消費者の期待を超えるサービスを提供してきた。これはウオルマートの創業者、サムウオルトンと同じExceed customer’s expectationと同じである。

しかし、サムウオルトンは常に顧客のお買い物についていかに安く、早く、豊富な品揃えを提供するかに重点を置き、常に店頭に立ち、顧客の声を聞いてきた。

そして価格を安くするために自らは倹約し、決して華美な生活を送りはしなかった。
こういうオーナー経営者は今でもいるのだろうが、なかなか取り上げられていない。

一方でベゾスは常にサイエンスを武器に顧客の期待を超えてきた。しかしそれは実際の現場の声ではなく、仮説に基づいたものだったのだろう。

今やベゾスは宇宙への夢に大きくシフトしているが、やはり一つの彼の理想とする世の中があり、それに憧れる消費者にとっては素晴らしい小売りサービスがアマゾンなのかもしれない。

一方で昔の名前であるバーンズアンドノーブルは企業再生が得意な経営者によって、蘇ろうとしている。昔の良き時代の本屋さんを彷彿とする環境を作り上げている。今、主要顧客は若者だそうだ。技術が進んでも、人の気持ち、考えは変わらない。

決してマーケットは昔ほどは大きくはないだろうが、存在意義、存在価値はある。それが本屋だ。鍵となるのは本屋の店長。

何か、昔の百貨店も店長らしさというのがその店にあったような気がする。

大きくはならなくても、儲かる百貨店というのは存続するのではないだろうか。

やはり、上場していると難しいか・・・

15分配達VS30分配達競争って、意味あるの?

アメリカのちょっと行き過ぎてる小売り競争

先週、アメリカの小売り業界でのDXについてオンラインセミナーに参加した。

在米の日本人アナリストの方がザクっと今の小売り業界のDXの動きを説明していたが、タイトルにもある配達時間競争は本当にちょっと的外れだなあと感じた。

確かにコロナ禍でECの売り上げが伸び、それに伴って配達競争も激化してきた。しかし注文を受けてから30分以内にお届けするのもすごいと思っていたら、いまや15分で届けるというのが出てきていて、熾烈な争いになっているという。

中国でもネットスーパーが1時間ではなく、30分、15分とドンドン配達時間を短くしている。

しかしコレって、本当に顧客のウオンツなの?それってESG経営につながっているのと思いたくなる。

デジタルの力で需要予測が進み、在庫の適正化ができ、また配達経路をAIで分析することで配達時間を短縮することはできる。でもそこまでして早く届けることに何のベネフィットを顧客にもたらすのだろうか?

「過ぎたるは及ばざるが如し」になっていないだろうか?

結局若者がゲーム感覚でデリバリーゲームを楽しんでいるように思えてならない。特にデジタルの世界では若者が中心であり、そのニーズ、ウオンツの中でビジネスモデルが作られている。

でも、大事なことは顧客は誰なのか?だ。

小売業でも今、DXの流れで経営の世代交代が求められている。確かにコレは大事だ。しかし、その企業の本当のコア顧客は誰で?その顧客が求めているのは何かをまず知ること。そしてそれを満足させるための手段としてDXをどう使うかを考えることが大切だ。

だからこそ、経営でも老壮青のバランスが大切なのかもしれない。

やりすぎだよ、15分配達。すごいけど経費の無駄にしか過ぎない・・・
リニア新幹線もいらないでしょ。

AMAZONは小売業なのかTECH企業なのか?

自らの強みをどこに持つかと環境にどう対応するかが企業の成長を決める!

今回のROBIN REPORTではAmazonがリアル店舗事業のテストに苦戦していることを取り上げている。多くのリアル店舗での挑戦が失敗しているにもかかわらず、今年秋にはアマゾンファッションという3万フィートのお店をオープンさせることも懐疑的に捉えている。

この中で私が気になったのはジェフベゾスがホールフーズは買収したのに、ファッションでは自らが作り上げる選択をとっていることだ。

筆者もベゾスが「買うか作るかの決断」と述べているように、アマゾンの戦略の中で新事業を1から創り上げるよりも、既存の事業を買って早く、大きくするのが近道のように感じる。
このレポートではアマゾンは技術に強い会社なのだと述べており、本当に小売業に必要なものは理解できていないと。

筆者はいう「テクノロジーは道具に過ぎない。小売業の科学的な部分であり、信じられないような方法で反復されます。しかし、その反復は、人の心によって動かされる小売業の芸術を支えるものに過ぎないのです。」と。

消費者が買い物をする全体のカスタマージャーニーの中で、確かにキャッシュレスも便利だし、試着室でデジタルで着替えができたり、試着品を販売員がスムースに提案してくれるのは嬉しいだろう。
でもそれが優先順位のトップには来ないだろう。

大事なのは商品を選ぶまでの流れと、探し始めてからの発見があったり、そして実際に試着や試してみて違うことに気がつく。そしてプロのアドバイスや家族、友人からのアドバイスで思いも寄らない商品が欲しかったことに気づくという物語を体験することが楽しいのだ。

特にファッションの世界は店舗のブランドバリューがまだまだ影響するだろう。
アマゾンといえば、安かろう悪かろうというイメージがまだまだある。
だからこそ、ホールフーズは良い買い物をしたように私には感じられた。

ファッションは殊更だ。
おそらく百貨店を買収するというスキームは多くのM&A、投資銀行が画策しているに違いない。早晩実現するように思われるのだが、アマゾンのコアコンピタンスはやはり技術なのだろうと思う。

他の小売業のブランドをうまく利用しながら、強みである技術を多くの古い体質の小売業に注入することにより再生させていくのが正しい道のように思える。

しかし、アマゾンがこれほどいろんなチャレンジをするのは、新規事業を社内でやることの大切さから来ているのかも知れない。アマゾンのような収益力のある会社なら全く影響しないレベルだからだ。

だとすると、そもそも収益力の弱い会社はどうすればいいのか?

百発百中の新規事業なんてものはあり得ない。千3つと言われるほど、新規事業の成功確率は低い。だからこそ、収益力の弱い企業はこれからの時代は環境の変化に合わせたダイナミックな変革をするしかないだろう。小さな予算でビビりながら新規事業をやっているのでは企業文化も変わらない。旧来型の小売業には本当に厳しい時代だと感じる。

なぜ私が介護の資格を取ろうとしているのか

自分の事として老後を考えたら、全く世界が違っていた

今月下旬から、介護の最初の資格である初任者研修というものを学びにいく事に決めた。
まあとはいえ16回のコースを受講するだけだ。しかし朝10時から17時までみっちりと授業と講習があるようだ。
ここでは介護における老いとは何かから始まり、実際にどう介護をすればいいのかの技術も学べるとのことだ。

今、まだコロナ禍でもあり、またプライベートでも時間が取られるため、なかなか本格的な次の仕事を見出せてはいないのが現状だ。

しかし、この多少自由な時間が取れる今こそ、何か学ぶべきことはないかと思っている中で、介護の資格に出会った。

というのも、私の母は今年老人介護施設に入居する予定であり、そのため色々と施設探しやそのために必要な事項をこなしている。まだコロナ禍のため施設も決定していないが、私はすでに5、6箇所の見学を済ませた。
わずかな見学だが、その一つ一つが全て違っていた。私の義母は2年前からグループホームで暮らしている。そのため、介護の世界は少しは理解していたつもりだが、奥が深いというか、1人1人の人生にはそれぞれの歴史があるように、介護施設にも一つづつ個性がある。

簡単には特別養護老人ホーム、サービス付き高齢者住宅、介護付き老人ホームと別れるが、今回私が見学した、サービス付き高齢者住宅、介護付き老人ホームでもバラバラであった。

入居時に一時金として支払う必要のある施設は比較的サービスレベルが高いというか、グレードの高い施設だ。それも数百万から億まで色々とある。またサービス内容でもそれぞれに違いがある。

今回気がついたのは、このコロナ禍における入居者への外出、面談対応であった。

あるホームでは一切、面会はできないとしていた。しかし私が見学した時には部屋まで見学ができた。入居者と直接話すことはなかったが、何か違和感を覚えた。

施設でも過去に入居者、もしくは家族から事故により訴えられたとかがあったようで、極端に訴えられないために、過度の面会規制をしているところもあった。

つまり現場は本当に色々であり、介護の世界は本当に大変だということを感じた。

今回、私が驚いたのはある高級老人施設で65歳の入居できる前から多くの50代が見学に来ていると聞かされたことだ。確かにここは入居すると死ぬまで面倒を見てくれる。最初は自立型の部屋で生活し、その後介護専用の部屋に移り、最後は病院かその施設で看取りをしてくれる。葬儀会場まで施設内にあるのは驚いた。

まるで一つのコミュニティに入る感じだ。確かに最後を心配する必要もなく、安心感はあるだろうと思った。私も1人になったらここに入ろうかと思った。

母の施設探しをするうちに、自分より若い50代がすでに老後の身の振り方を考えているのを聞き、自分はどうするのかを考えるようになった。

介護の仕事をするために、資格の学校に通うのではなく、これからの社会を考えるにおいて介護の世界は大きな存在になることは間違いない。私は今、その世界を少し家族の立場で見ることが出来た。

では介護をする人からはどう見えるのであろうと思ったのが今回、通うことを決めた理由だ。

週に1回だが、自由に通える時間をもてる今だからこそ、この勉強をしてみたいと。

ただ、かかりつけ医の先生に私が介護の資格を取りに行くと話したら、「藤野さんにはもっと別の仕事が向いています」と言われたのが気になるが、まあ、しょうがない、頑張るしかない!

なんとなく小売り再編の予兆がする

7&IHDが西武そごうを売却するニュースと同じようにAmazonがKohlsを買収するかもというニュースはタイムリーだが、それだけでいいのか??

今日のRobin ReportではAmazonとコールズの相性の良さが報じられていた。

アマゾンはコールズの求婚者となるのか?

今朝の日経の一面はそごう西武の切り売りが大々的に取り上げられ、朝から7&Iの株価はストップ高、一方で百貨店株は軒並み売られるというなんとも、百貨店にはもう将来がないとばかりの動きが見えた。まあ普通の反応だなと感じた。

そして今朝ロビンレポートを見たら、アマゾンはホールフーズではなく、コールズを手に入れることで、一気に1160店舗を手に入れてシームレスな販売環境を整えることができると述べている。これも納得。

ただ、気になることがレポートに一つ書いてあった。Amazonは技術の塊の会社であり、そこには芸術がないと。彼らには人間的な要素が欠けているとも書かれている。これはこれからのZ世代を考えると致命的ではないのかなとふと、昨日書いたZ世代の記事を思い出してしまった。

また7&Iの育ての親である鈴木さんも芸術の香りがしない人であった。
だから、百貨店のような芸術や人間性を大切にする企業風土はセブンには合わないと誰も思っただろう。

そう言いながら、果たして今の百貨店にそのような風土はまだ残っているのだろうかとふと疑問が浮かぶが・・・・


インターネットというテクノロジーを中心に大きく小売り環境が変わる中で、技術先行で伸びていく会社もあれば、それだけではなく、一部の顧客を対象にしてネットとリアルで今以上におもてなしに溢れた小売り業態が生まれてくる可能性はあるのではないだろうか?

例えば地域に根ざした工芸品、特産品、海産物、農産物を単にプラットフォームで売るのではなく、一緒になって育てるとか、作るところから参画するといったより生産者と消費者が一体となったビジネスが生まれてくるべきではないかと。

なんとなく、今の若者の起業は結局プラットフォームビジネスだけになってきているような気がしてならない。もっと現場い足を運ぶ、いや地方に住みながら生産者と一緒に考えることが、新しい小売りの業態を作るような気がする。

どちらにしても、今年早くに持っていた7&IHDの株を売ってしまった自分には本当に腹が立つ。株は難しいなあとつくづく感じる。

もうすぐZ世代の時代が始まる!

もうすでにY世代は消費の主役になりつつある。ラグジュアリーブランドも考え方を変えないといけない

今週のROBIN REPORTではラグジュアリーブランドがZ世代にどう対応すべきかを考察している。

アメリカには26−41歳のミレニアル世代は72百万人、10−25歳のZ世代は67百万人いる。
収入のピークを迎えるのは35−55歳と言われている。このレポートでは2025年までにミレニアル世代は29−44歳となりラグジュアリーマーケットの50%を占めるだろうと予測している。

以前の中国のZ世代のレポートでも示したが、明らかにZ世代とY世代(ミレニアル世代)では考え方が違う。これは米国、中国と同じく日本でも同じことが言える。

ラグジュアリーブランドは、Y世代にはこれまでのような手法でマーケティングができるだろう。このレポートの言葉を借りると、Aspirational(憧れ、熱望)なメッセージを発信することで顧客をまだ惹きつけることができる。

しかしZ世代にはIntentional(意図的、計画的)なメッセージが必要となる。Z世代は自分にとっての価値を大事にする。その一つがサステイナビリティである。

このレポートでは面白い話が載っている。ラグジュアリーでも中古市場がここ数年すごい勢いで非常に伸びている。中古商品はZ世代には昔作られたけれど、初めて見る新商品なのだと。企業はこれまで以上に毎年多くの新商品を発表して凌ぎを削っているが、今や中古市場も大きなマーケットであり、Z世代には選択肢の幅がこれまで以上に多くあるということだ。つまり選べる範囲が多いからこそ、選ぶ基準を自分で持たないといけないということなのだろう。

そして今の多くの新製品は値段の安い商品なのだ。だからこそラグジュアリーはどうして高いこの商品を買わないといけないのかの意味、価値をしっかりとZ世代に伝えなければいけない。

今のミドル、Y世代の持つ憧れだけでは、ラグジュアリーは買わないのだ。

すでにサステイナビリティをテーマにして幾つかのブランドは行動を起こしているが、それだけでは生き残れないだろう。

ただ、このレポートでもZ世代がラグジュアリーのメイン顧客になるにはまだ時間があり、彼らが40代になった時にどういう消費行動における価値観を持つのかはまだわからないと述べている。あと10年はかかるであろうが、この10年で既存の販促手法が通用するY世代への対応を行いながら、Z世代といかに対話を続けながら、新しい価値観の共有を図ることが大切だと説いている。

もう企業から一方的なイメージ発信や憧れを押し付ける時代は終わりを告げようとしている。

メタバースのような仮想空間の中での共有時間、共有空間を共にしながら、距離感が近い中でブランドと消費者が価値を創造して共有することがさらに大事になってくるのだろう。

これから言えることは、もうファッションのピラミッドの構図はないのかもしれない。
昔はパリコレ、ミラノコレクションでのファッションショーを頂点にして、オートクチュール、プレタポルテとそのエッセンスが流れ、そしてハイエンドからミドルエンド、そして一般ブランドへとその年のファッショントレンドが行き渡ったのである。

だからこそ、ファッションデザイナーは絶大な力を持っていた。
しかしこれこそ、Aspirationalなものなのである。

これからは無名のアーティストがYouTubeで大ヒットして人気アーティストになるように、ファッションでもそういう時代がやってくるのだろう。

新しい時代にふさわしいラグジュアリーマーケットの予感

ミレニアル、Z世代にはもうシャネル、グッチ、ルイヴィトンはいらないかも??
百貨店が次に目指すラグジュアリーはここかもしれない!

今回のROBIN REPORTでは新しい時代のラグジュアリーの定義を提案している。

特にミレニアル、Z世代にはこれまでのレガシーは通用しない。だからエルメスのバーキンも興味ないのだ。これまでのブランド力がもはや通用しない若い世代には、そのブランドが持つ意味、物語、デザイナーの思いなどが明確になっていれば、それが少し高くても買いたくなるというのが今回のレポートである。

もはや価格でラグジュアリーブランドを決める時代は終わったと筆者は語っている。
若い世代にラグジュアリーブランドと認めてもらうには、
1、そのブランドにどれがおしゃれなのかを顧客が選択できるような選択の幅を持たせているか
2、センスが常に顧客を超越しているかのような態度を取らないで会話を楽しむブランドになっているか
3、なぜこんなに高い値段をつけているかの説明ができるような透明性を持っているか(ここでは売り上げの一部を寄付するなどの理由)
4、自らのご褒美に少し良いものを身につけましょうというような問いかけが顧客に行われてるか
5、ミレニアル世代とZ世代は持続可能性を重視しており、ブランドはこれらの次世代に対応するための強いミッション・ステートメントを持っているのか

などが重要だと述べられています。

そして最後に、
レガシーメゾンは、透明性を確保し、幅広い選択肢を提供することで、より身近な存在になる時が来たのです。親しみやすいラグジュアリー・ブランドの時代へようこそ。

と締め括っています。

百貨店などはこれまでの顧客にはこのようなレガシーブランドを提供し、新しい若い世代には彼らにとっての新しい時代のラグジュアリーブランドを提案するという気持ちというか考えが必要なのではないだろうか。

つまりラグジュアリーブランドの再定義が必要なのだ!

そこには日本文化との融合など伝統的なものが重要な要素になってくるように思われる。

中国のZ世代を読みとく!

日本とは大きく異なる中国のZ世代、でも本質は同じかもしれない

日本マーケティング協会の月刊誌マーケティングホライゾン12月号に寄稿したものを紹介する。

https://www.jma2-jp.org/article/jma/k2/categories/811-mh211201

ここでは世代論から中国のZ世代を分析したものだが、Y世代とも大きく異なるZ世代は日本だけでなく、世界で注目されている。

詳しくはサイトから読んでいただきたいが、Z世代やY世代にとっては地球温暖化、コロナなどが大きな影響を与えているのは間違いない。

その将来に対する不安感、恐怖感、絶望感が大きな問題と言える。
今こそ、将来に対して希望や明るい未来を提案することが大事と言える。

そのために我々世代が何ができるかを考えるべきだろう。

Z世代にはSDGSではなく、文化への貢献こそが百貨店の生きる道

儲けることよりも社会への貢献を重視するZ世代には百貨店は向いている

年始の日経新聞の記事を読んでいてZ世代に向けたマーケティングのヒントが掴めた気がした。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC14APU014122021000000/

Z世代の3割以上は社会課題の解決に貢献したいと思っている。地球温暖化、コロナなど彼らには将来は決してバラ色ではなく、不安しかないのであろう。
そういう時代になってきて、企業に求めるものはどんなことをしている会社なのかが大きなポイントなのだろう。昔は年収やブランドイメージが選択基準だったと思うが、今は転職が当たり前の時代。だから定年まで働くというのではなく、自分の専門性を高めながらも、自分として社会に貢献し、それに収入を得ることが大切なのだろう。

しかし、先月明治大学の大石先生の公開セミナーを聞いていて、先生が今のZ世代にSDGSは反応しないというお話を聞いた。
そこでは、単に会社として二酸化炭素の削減や電力使用の削減などの努力をしていることはあまり興味がないようだ。これはおそらく会社としてどう社会問題の解決に立ち向かうかという積極的な取り組みではなく、単にSDGSの目標達成に向けて数合わせをしている後ろ向きな取り組みに感じられるからだろう。

この点からすると、やはり企業は収益力を競うのではなく、どんな社会問題の解決を行うのか、どうやってそれを行うのかが大事になるのだろう。

これは百貨店のような収益力の低い小売企業には追い風だ。これまでは株主からの収益力への厳しいプレッシャーで、とにかく儲けること、稼ぐ力が問われてきた。

しかし、これからは企業としての存在意義をしっかりと主張することも大事ではないだろうか。

私は日本の百貨店の存在意義は日本文化の伝達者であるべきだと感じている。

今、日本の文化が見直されている。海外にいたときに茶道に多くの外国人が興味を持ち、いろんな話をしてほしいと言われた。
また着物もそうだし、和食器もそうだ。多くの外国人にとっては日本という国はとてもミステリアスな国なのかもしれない。

経済力でもう世界をリードできない日本はこれからは他にはない日本の文化をいかに守り、それを海外に届けていくかが大事ではないのだろうか。

百貨店は昔は日本の文化を守りながら、世界の優れた文化をいち早く日本に導入してそれを届ける役目をしてきた。

今こそ、日本文化の伝道者として百貨店は日本の伝統文化、芸能、着物、器などを守ることに力を注ぐべきだ。

Z世代にもこの動きはきっと支持されるに違いない。

温故知新という言葉がぴったりな2022年ではないだろうか?

ドンキ・ホーテは何故オンラインビジネスをしないのか?

ドイツのグローサリーストアから見るリアル店舗の魅力とは

今回のRobin Reportではドイツのグローサリーチェーンの快進撃を伝えている。
記事では双子のようなアルディとリドルという二つのグローサリーディスカウントチェーンが欧州だけでなく、米国でも店舗を拡大していて、強みである食品だけでなく、非食品分野にも力を入れ始めているので、アパレルや雑貨を扱うスーパー業態や専門店に注視するように警鐘を鳴らしている。

この記事で面白いのは、この2つのディスカウントストアの営業形態がドンキホーテと似ているところだ。毎週商品は入れ替わるので、いつきてもおもちゃ箱のような驚きと楽しさがある。そして今では食品だけでなく、ブランド物のアパレルや雑貨も食品と関連した形で展開されている。

この2つのグローサリーストアは現在、オンラインショッピングを実施していない。しかし、アルディでは数年後に数量を限定した形で雑貨、アパレルを中心にオンラインショッピングを行う計画とのことだ。

この記事を読んでいて、リアル店舗の魅力というのを改めて考えさせられた。

この記事を読みながら、ふと思ったのは、ドンキホーテはオンラインショッピングやってるのかなあと。調べてみるとやっていない。

確かにドンキホーテの楽しさはオンラインでは伝わらないような気がする。シンガポールにいた時も明治屋さんよりもドンドンドンキーの方が楽しかったし、安くて品質もよかったような気がした。ほぼ賞味期限切れのお菓子がとても安く売られていてよく買ったものだ。これは日本では違法だろう・・・

このように考えてみると、リアル店舗の魅力とはオンラインショッピングでは味わえないものなんだと感じる。そこを追求すればリアル店舗の生き残る道はあるように思う。

百貨店の催事はオンラインショッピングしたら、魅力は半減してつまらないものになるだろう。私が店長をしていた大丸東京店の名物催事のワインフェスティバルでは無料試飲が大きな魅力だった。このような催事を中心に展開することがリアル店舗の生き残る道のように思われる。

食品催事をオンラインでやったりしている百貨店もあるが、これはドンキホーテをオンラインでやるようなものであり、うまくいかない気がする。

なんでもかんでもDXしないと生き残れないというコンサルに惑わされることなく、リアルの生き残る道を模索してほしい。

おそらオンライン部門を切り離したサックスなどはその方向になるのだろう。オンラインでは品揃えできない意外性と煩雑さをどうアピールするかではないだろうか。