コーチングする上で大切なのは、伸びない人はコーチしないことってどういうこと?
今日からは今読んでいる「1兆ドルコーチ」について少し考えてみたい。
この本はアメフトのコーチから、優秀なプロ経営者となり、その後、スティーブジョブスやグーグルの会社をコーチングし、シリコンバレーでは伝説のコーチングプロとして有名なビルキャンベルの物語である。
この中には会社を経営をする上で大事なことやコーチングについて色々と書かれている。
会議の方法、特に取締役会の進め方は読んでいて、自らの経験を振り返るとなるほどと思えることがいくつもあった。
例えば、最終的には決めるのはCEOであり、それを他の取締役は尊重すべきだが、基本は全員が自由に意見を述べて論議できる雰囲気を作らなければいけない。またそのためにはCEOはある時はみんなの輪から一歩下がっていなければいけないと。
この話を読んで、星野リゾートの星野代表の経営スタイルを思い出した。
彼は大きな方針を自ら出すが、それ以降の大部分、特に個々のホテルでの経営については全員で決めるスタイルをとっている。テレビでその模様が出ていたが、とても自由な雰囲気の中で、かつ全員が真剣に討議していた。
やはりリーダーによって会社は変わるなと感じる。
若い頃、百貨店のお店のナンバー2である店次長にこう言われたことがある。
「いいか、藤野くん、覚えておきなさい。店長と店次長の差は店次長と新入社員の差よりも大きいんだよ」
当時はそんなことはないだろうと思った。
しかし、自分が店長になったときに、この言葉はなるほどと感じた。
また取締役になり、常務になった時も、社長と常務取締役の差は同じように取締役とマネジャーとの差よりも大きいと感じた。
これは私のいた会社の文化だったのかもしれないが、確かにリーダーという存在は組織の中では絶対であり、唯一のものなのである。それは百貨店の店長というのも、一国一城の主という意味ではある意味同じなのかもしれない。
今日の本題は、この中でビルがコーチをするときにコーチできる人材かどうか(本書では教えられる側の人間がコーチャブルな人)を見極めてからコーチをするということだ。
ビルが求めたコーチャブルな素質とは「正直さ」「謙虚さ」「諦めず努力を厭わない姿勢」「常に学ぼうとする意欲」である。確かにコーチはいかにその人の能力を伸ばすかだ仕事だが、相手が人のいうことを聞かない、努力をしなければいくらコーチしてもダメだし、やはり素養というかその人の能力そのものがなければいけない。
これを読んでいて、同じ話を思い出した。船井総合研究所の故船井幸雄の言葉だ。以前にも紹介したと思うが、彼が経営コンサルタントを引き受けるかどうかを判断する基準は相手の社長が「まじめ」「素直」「勉強熱心」であるかどうかである。
これはビルの求める資質と全く同じである。
私はこの中でも謙虚さ=素直であることが大事だと感じる。自分の経験でもやはり、会社に入り、それなりに結果も出してくると謙虚さがなくなってくる。また仕事への自信が過信、傲慢になってくることがある。私も少し反省しなければと思う。ビルは本書でコーチングの根底には人の価値は肩書きや職務ではなく、心の持ちようで決まるという。
人間、どう自分と向き合うのかを常に問わなければいけない。少しぐらい仕事がうまく行ったとか、収益をあげれたとか、マスコミに取り上げられたとか、講演に呼ばれたとかで、自分を過信してはいけない。常に謙虚に自らを戒めることが大切であり、そのためにコーチが存在するのではないかと。
これまではいいコーチには残念ながらあまり出会えなかった。これからの人生でいいコーチに巡り合えることを楽しみにしている!まあ自分がコーチとする年齢かもしれないが、まだまだ修行が足りないなあと感じる。
」