もうすでにY世代は消費の主役になりつつある。ラグジュアリーブランドも考え方を変えないといけない
今週のROBIN REPORTではラグジュアリーブランドがZ世代にどう対応すべきかを考察している。
アメリカには26−41歳のミレニアル世代は72百万人、10−25歳のZ世代は67百万人いる。
収入のピークを迎えるのは35−55歳と言われている。このレポートでは2025年までにミレニアル世代は29−44歳となりラグジュアリーマーケットの50%を占めるだろうと予測している。
以前の中国のZ世代のレポートでも示したが、明らかにZ世代とY世代(ミレニアル世代)では考え方が違う。これは米国、中国と同じく日本でも同じことが言える。
ラグジュアリーブランドは、Y世代にはこれまでのような手法でマーケティングができるだろう。このレポートの言葉を借りると、Aspirational(憧れ、熱望)なメッセージを発信することで顧客をまだ惹きつけることができる。
しかしZ世代にはIntentional(意図的、計画的)なメッセージが必要となる。Z世代は自分にとっての価値を大事にする。その一つがサステイナビリティである。
このレポートでは面白い話が載っている。ラグジュアリーでも中古市場がここ数年すごい勢いで非常に伸びている。中古商品はZ世代には昔作られたけれど、初めて見る新商品なのだと。企業はこれまで以上に毎年多くの新商品を発表して凌ぎを削っているが、今や中古市場も大きなマーケットであり、Z世代には選択肢の幅がこれまで以上に多くあるということだ。つまり選べる範囲が多いからこそ、選ぶ基準を自分で持たないといけないということなのだろう。
そして今の多くの新製品は値段の安い商品なのだ。だからこそラグジュアリーはどうして高いこの商品を買わないといけないのかの意味、価値をしっかりとZ世代に伝えなければいけない。
今のミドル、Y世代の持つ憧れだけでは、ラグジュアリーは買わないのだ。
すでにサステイナビリティをテーマにして幾つかのブランドは行動を起こしているが、それだけでは生き残れないだろう。
ただ、このレポートでもZ世代がラグジュアリーのメイン顧客になるにはまだ時間があり、彼らが40代になった時にどういう消費行動における価値観を持つのかはまだわからないと述べている。あと10年はかかるであろうが、この10年で既存の販促手法が通用するY世代への対応を行いながら、Z世代といかに対話を続けながら、新しい価値観の共有を図ることが大切だと説いている。
もう企業から一方的なイメージ発信や憧れを押し付ける時代は終わりを告げようとしている。
メタバースのような仮想空間の中での共有時間、共有空間を共にしながら、距離感が近い中でブランドと消費者が価値を創造して共有することがさらに大事になってくるのだろう。
これから言えることは、もうファッションのピラミッドの構図はないのかもしれない。
昔はパリコレ、ミラノコレクションでのファッションショーを頂点にして、オートクチュール、プレタポルテとそのエッセンスが流れ、そしてハイエンドからミドルエンド、そして一般ブランドへとその年のファッショントレンドが行き渡ったのである。
だからこそ、ファッションデザイナーは絶大な力を持っていた。
しかしこれこそ、Aspirationalなものなのである。
これからは無名のアーティストがYouTubeで大ヒットして人気アーティストになるように、ファッションでもそういう時代がやってくるのだろう。