自らの強みをどこに持つかと環境にどう対応するかが企業の成長を決める!
今回のROBIN REPORTではAmazonがリアル店舗事業のテストに苦戦していることを取り上げている。多くのリアル店舗での挑戦が失敗しているにもかかわらず、今年秋にはアマゾンファッションという3万フィートのお店をオープンさせることも懐疑的に捉えている。
この中で私が気になったのはジェフベゾスがホールフーズは買収したのに、ファッションでは自らが作り上げる選択をとっていることだ。
筆者もベゾスが「買うか作るかの決断」と述べているように、アマゾンの戦略の中で新事業を1から創り上げるよりも、既存の事業を買って早く、大きくするのが近道のように感じる。
このレポートではアマゾンは技術に強い会社なのだと述べており、本当に小売業に必要なものは理解できていないと。
筆者はいう「テクノロジーは道具に過ぎない。小売業の科学的な部分であり、信じられないような方法で反復されます。しかし、その反復は、人の心によって動かされる小売業の芸術を支えるものに過ぎないのです。」と。
消費者が買い物をする全体のカスタマージャーニーの中で、確かにキャッシュレスも便利だし、試着室でデジタルで着替えができたり、試着品を販売員がスムースに提案してくれるのは嬉しいだろう。
でもそれが優先順位のトップには来ないだろう。
大事なのは商品を選ぶまでの流れと、探し始めてからの発見があったり、そして実際に試着や試してみて違うことに気がつく。そしてプロのアドバイスや家族、友人からのアドバイスで思いも寄らない商品が欲しかったことに気づくという物語を体験することが楽しいのだ。
特にファッションの世界は店舗のブランドバリューがまだまだ影響するだろう。
アマゾンといえば、安かろう悪かろうというイメージがまだまだある。
だからこそ、ホールフーズは良い買い物をしたように私には感じられた。
ファッションは殊更だ。
おそらく百貨店を買収するというスキームは多くのM&A、投資銀行が画策しているに違いない。早晩実現するように思われるのだが、アマゾンのコアコンピタンスはやはり技術なのだろうと思う。
他の小売業のブランドをうまく利用しながら、強みである技術を多くの古い体質の小売業に注入することにより再生させていくのが正しい道のように思える。
しかし、アマゾンがこれほどいろんなチャレンジをするのは、新規事業を社内でやることの大切さから来ているのかも知れない。アマゾンのような収益力のある会社なら全く影響しないレベルだからだ。
だとすると、そもそも収益力の弱い会社はどうすればいいのか?
百発百中の新規事業なんてものはあり得ない。千3つと言われるほど、新規事業の成功確率は低い。だからこそ、収益力の弱い企業はこれからの時代は環境の変化に合わせたダイナミックな変革をするしかないだろう。小さな予算でビビりながら新規事業をやっているのでは企業文化も変わらない。旧来型の小売業には本当に厳しい時代だと感じる。