ファッションレンタルビジネスはアフターコロナでどうなる?

Rent the Runwayの苦戦に見る顧客のライフスタイルの変化

今回のRobin ReportではファションレンタルビジネスのRent the Runwayの苦戦を伝えている。

Rent The Runway(RTR)はこれまでは定額月159ドルで好きなお洋服を借りることができるファッションレンタルビジネスだ。買うのではなく、流行のファッションを毎月変えることで、ストックしたくない若い世代のニーズやお財布にも優しく、環境にも優しいという時代の流れにあったビジネスとして脚光を浴びた。
事実、このマーケットはレポートにもあるように10年間で11億ドルから36億ドルマーケットにまで広がったのだ。

しかしコロナ禍になり、多くの不幸要因が重なった。
まずレンタルビジネスはワーキングウエアというよりも、メインはパーティウエアなどいつも着ない、または2回同じのを着たく無いという需要にフィットしていた。しかしこのパーティは消えてしまった。

また人の使ったものを使い回すことで感染リスクが高いことがブレーキになった。

さらにRTRで扱っているのはシャネル、エルメスのような最高級ラグジュアリーではなかった。いわゆるセカンダリーブランドであり、ワークウエア需要が減る中で大きく影響を受けたブランドと言える。

つまりコロナ禍でのライフスタイルの変化に全くついていけなかったのがRTRと言える。
そんな中で力を入れているのが中古品販売だ。借りて気に入った商品をそのまま買いたいという消費者ニーズに応えるものだ。

実際に私も米国のファッションレンタルビジネスに投資をした経験があるが、最初からファッションレンタルビジネスでの収益モデルのメインはレンタル商品の販売であった。毎回いろんな商品が送られてくる中で気に入ったお洋服を定価よりも安く買えるというのは消費者には魅力的であり、同時に事業としても収益性の高いものだった。

RTRではまず、パーティー需要のような2回は着たく無いものをレンタルするというところからのスタートであり、これはパーティーが多かった米国ならではのマーケットと言える。また女性のワーキングウエアとしてのワンピースやスーツなども毎月着替えたいというのも合理的であったのであろう。

しかしこうした需要がなくなってきた中では、値段を下げて対象顧客を広げて、リセールに力を入れていくしか無いということなのだろう。
しかし果たしてそれが今後うまくいくのだろうか?

私はそもそも、ファッションレンタルビジネスではそのブランド力が大きな鍵になると思っていた。ブランド力があり、なかなか手が出せないお洋服だからこそ、レンタルで借りてでも着てみたいというニーズが生まれる。
これは高級外車に一度は乗ってみたいというニーズと同じような気がする。

しかし今の若者は車には興味を示さない。当然ポルシェやベンツに乗りたいという願望もない。車よりもカッコいい自転車が欲しいのだ。
同じことがファッションの世界でも起きているのではないだろうか。もう別にシャネルに興味はないという若者が増えているのだ。

特にコロナ禍で環境問題が大きく取り上げられている中で、これまでのようにファッションビジネスは毎年トレンドを作りだしながら、毎年お洋服を買い換えないといけないと誰が思うのだろうか。

一方このレポートではラグジュアリーブランドのリセールを専門にしているReal Real との差を挙げている。
https://forbesjapan.com/articles/detail/43146

こちらは絶好調のようだ。これは扱っているブランドがシャネル、エルメス、グッチというラグジュアリーブランドである。しかも上記の記事によればZ世代にも好調とのことだ。

これは明らかな2極化消費の典型と言えるのかもしれない。数少ないラグジュアリーブランドのみが生き残り、その価値を意地できないセカンダリーブランドは消滅してしまうというのが現実のものになってきているのだろう。

しかし、ライフスタイルとしてパリのオートクチュールを頂点としたファッションデザインがプレタポルテ、既製ブランド、ファストファッションへと下に流れていくというような構造はもはやなくなりつつあるのかもしれない。

2極化消費の中で本当に限られた富裕層だけが楽しむファッションと一般人の楽しむファッションが明確になるかもしれない。

前澤さんの宇宙旅行こそ、今の富裕層の究極レジャーであり、一般人にはとても手が出ない。

逆にいうと、レンタルすることで富裕層の気分を味わうことを求める人はこれから少なくなるのかもしれない。

新しい価値観が生まれようとしていることは確かだ。

それにアジャストできる企業とできない企業の差は大きくなる。

最近の商業施設の改装、リニューアルをみていて、まだまだ東京で流行っているブランド、施設のコピー版を必死になって作ろうとしてる気がしてならない。もうその時代は終わっている。

先日大阪に行って、最新の百貨店のリニューアルをみたが、ちょっと残念だった。

食とリビングを差別化ポイントにしていて、一見すると面白そうだなと思ったが、ふと、これで儲かるのかなと。

まずはお客様に喜んでもらうことが一番なのだが、持続しなければ意味はない。
コロナで疲弊した商業施設の再開発、リニューアルはこれからどんどん進むだろう。
でも今の手法では絶対にうまくいかない。潰してマンション、いや老人ホームにしたほうが投資効率は上がる。

これが悲しい現実であり、個人投資家の端くれとしてそういう企業には早く退出してもらいたいと思う。


アメリカの百貨店から見る、リアルとオンラインの融合

Macy’s、Saksに見るリアル店舗中心の小売業の今後

オンライン部門を店舗事業から切り離すことで株価を上げたMacyデパート

今回のRobin Reportではサックスフィフスアベニューに引き続き、メーシーもこれまでの実店舗での販売とオンライン販売を統合させるこれまでの動きをやめてオンライン事業は店舗事業から切り離すことを取り上げている。

レポートでは懐疑的にこの動きを捉えているが、私には至極当然の動きに見える。
この筆者もいまいち、小売の現場を理解していないのかと疑問に思ってしまった。


というのも、今の小売ビジネスの基本はお客様の特定と商品の特定をした上での売買が基本であるということだ。

これにより、誰がいつ、どこで、何をどのように買ったかを個人の特定と商品の特定ができるレベルでないと、今後の商品提案や、購買履歴の分析ができないからである。

これをAmazonのようなオンラン販売では完全に把握できる仕組みになっている。

しかし、これまでの小売業、百貨店やスーパーでは現金販売が中心であり、POSレジでも個別単品レベルまで売り上げを把握するという基本設計ではなかった。
昔は何が売れたかが重要であり、顧客はマス広告で商圏内から呼べば良いという考えだった。
システムもどうしても何が売れたのか、値段帯は、時間帯などというのが重要だったのだ。
それで十分だったということは、今思うとざっくりとした商売だったのだ。
結局、経験、勘、度胸での商売のレベルからは脱却できない仕組みの上で成り立ってきたのだ。

まして、今では百貨店でも自分で仕入れるのではなく、消化仕入れやテナント貸しという場所貸し業に舵を切っている。
これはこれで人件費の削減や効果的な売り場の活用といった面では理にかなっている。

しかしお客様との関係性においては、このいかなる場合でも個人の特定ができ、しかも買った商品が絶対単品レベルまで把握出来なければ、オンライン事業者と対峙して戦うことはできないのである。

Amazonが今、リアル店舗を拡大しようとしている。しかし、おそらく彼らの狙いはオンラインショッピングの延長線として、個人を特定できない現金販売はできないようにするだろう。事実、Amazon Goでは入店時にIDの確認をすることでキャッシュレス販売を可能にすることで、IDの取得とレジ経費の削減を同時に実現している。

今の日本の百貨店業界を見ると、やはりまだ自らでオンライン販売を実現して、リアル店舗との融合を図ろうとしているように思われる。

しかし私の経験でも、今の店舗事業を肯定した上で、テナント貸しを拡大する現状では、オンライン事業との統合は不可能であり、今回のMacyが判断した決断に従うべきではないかと思う。

丸井は百貨店ではないが、すでに自らでの販売を捨てて、カード事業を中心に個人の特定を強化しながら、商品の絶対単品レベルの把握をしようとしている。しかし、これも私に言わせると中途半端である。自社カードに頼るのではなく、アマゾンのようにオンラインでの販売による個人の特定がベースとすべきであり、自社カード会員の強化に走りすぎるのは危険ではないだろうか。
ルミネも同じようなことをしているが、店舗事業との統合は難しいように思われる。おそらくカードビジネスでの連携となるだろう。

百貨店でも自社カードの会員獲得にとても力を入れているが、今や、本当にそれだけの魅力を提供できるのであろうか?もっというと、そのために販売促進コストを積み上げ、ポイント経費の負担に耐えるために、本来の広告宣伝費を圧縮することは、夢を与えるブランドとしての百貨店のとるべき戦略なのだろうかと思ってしまう。

昔から、百貨店業界はアメリカ詣でといって、30年先をいくアメリカの百貨店を参考にしてきた歴史がある。
私も百貨店劇場論を熱心勉強したことを思い出す。

今こそ、アメリカの百貨店で何が起こっているのかを見るべきではないだろうか?

ぜひ百貨店経営者には安易なDX亡者に惑わされないことを祈る。

前にも紹介したが、下記の無料翻訳ソフトを使えば、英文記事は簡単に日本語で読むことができる。ぜひみなさん試してもらいたい。
https://www.deepl.com/translator

最近日経の記事の分析力が落ちたような・・・

マーケティングに強い記者がいなくなったのかも

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD224VB0S1A021C2000000

10月28日付の日経の記事
若者ゴルファーはテスラ好き 世代マーケは「OB」?
を読んで、ちょっと日経さんこんな記事書いていいの??って思った。

中身としては20代、50代の世代論としてそれぞれの違いを比較しているが、最後にこう締めくくっている。

ステレオタイプの若者像やシニア層を導き出す世代マーケなどはもはや「OB」かもしれない。

えーって感じ。
こんなこと昔から言ってることだし、何を言ってるのって感じだ。

世代論を鵜呑みにするのは禁物だが、やはり世代はその生まれてきた環境や時代、トレンドなどがその人たちの行動に大きく影響する。

今、私は中国のY,Z世代の世代論についてレポートをまとめているところだが、確かに中国のZ世代と言っても上海と田舎の都市の人では考え方は大きく違う。
でもだからといって、アニメ好きのグループを集めてクラスターを作るだけでは、分析も何もできない。

世代論はその時代の生きてきた特別な環境が大きくその世代の特徴を作るのだ。

バブルを知ってる世代と知らない世代の差は大きい。

中国では一人っ子世代のY,Z世代は他国の同じ世代とは違う特徴を持っている。一人っ子しかいない世代の小中高時代ってやはり違うのではないか。親との関係もそうだ。
なんか、こういう分析することもしないで表面的な論議をする日経にはなってほしくないなあ。

私の中国Y,Z世代レポートは年末には公開できるかと。

おしゃべりカウンターは百貨店の武器になるかも!

オランダのスーパーの取り組みに学ぶ、孤独に悩む老人へのサービス

オランダのJUMBOというスーパーマーケットでは2年前からレジにおしゃべりのできるレーンを作っており、これが老人に好評で200店舗までこのサービスを拡大するようだ。

オランダでも170万人以上が75歳以上で、一人暮らしの老人の孤独化が問題になっているようだ。その解決策の一つとして地元のスーパーが始めたのが、おしゃべりのできるレジだ。

今、スーパーではアマゾンGoなど無人レジの導入が進んでいる。つまり誰とも話をせずに買い物が済ませるという効率的な取り組みだ。この取り組みは確かに若い世代をターゲットにした時には有効であり、今後どんどんと勧められていくだろう。

一方で孤独老人が増えてきている中で、老人がスーパーに買い物に来る時に最先端のデジタル化はハードルが高い。また誰とも話さずに買い物をすることでますます孤独化を招いてしまう。

そういう時に、このオランダのスーパーの取り組みは社会的な問題解決にもなり、一方でアマゾンGOなどとの差別化戦略にもなりえる。

日本は世界でNO1の高齢化社会であり、今後ますます孤独な老人は増えていくだろう。その時にリアルな買い物の場が孤独老人にとっての憩いの場となることは社会的な価値があるのではないだろうか。

百貨店で言えば、友人とお店に来て、ウインドウショッピングを楽しんだ後、ご飯やお茶を飲んで家に買えるのが一つのストレス発散になっている。その時に1人できても楽しめるのは馴染みの販売員との会話であろう。ではそういう馴染みの販売員がいなければ、こういうサービスを始めたらどうなのか?

話相手になるだけのサービスが流行っているこの時代。百貨店はリアルでの会話ができる場としてのサービスを老人の孤独化問題の解決を繋げて提供することは、ネット販売との大きな差別化戦略になるのではないだろうか?

非効率と思えるサービスをあえて強化する、逆張りのサービス戦略が必要だ!

リアル店舗にはまだまだ未来がある!買い物をするの場ではなく、ストレス発散する場がリアル店舗だ!

アメリカのショッピングモールの復活ぶりは誰も予想できなかった

最近よくチェックしているHPにThe RobbinReportがある。これはアメリカの小売業界全体についてレポートしているが、今回面白かったのはショッピングセンターの復活である。

2020年のコロナ禍で専門家はほとんどのショッピングセンターが潰れるだろうと予測していた。しかし、実際には予測とは違い、閉店したお店は少なく復活を遂げている。
もともとコロナ前から、ざっとでいうと、3000強のショッピングセンターのうち1000店舗はC,Dランクと評価されていて、その運命は閉店しかないと思われていた。そこにコロナ禍で一時休業を余儀なくされてもう運命は尽きたと誰もが思った。そしてそれ以外のBランクの店舗も早晩閉店するだろうと思われた。コロナ禍でのオンライン通販の台頭がその予測を後押しした。

しかし、結果的にはそこまでの閉店にはならず、規制が解除になると再び、店舗に人が集まったのである。2019年よりも売り上げがプラスになったショッピングセンターも出てきている。

この記事にもあるように、元々ショッピングセンターのキーテナントであるデパートの集客力は落ちており、アンカーテナントがいない中でショッピングセンターが回復できるのかという声は大きかった。またネット通販の利便性が広まり、もうリアル店舗にいく必要がないのではないかという声もでた。

しかし、多くの人々はまだまだリアル店舗が好きなのだ。ネット通販では買い物によるストレス発散は十分ではないのだろう。やはり、ウインドウショッピングをして、ぶらついて、ご飯や食べ物を飲み、そして買い物を楽しむという一連の行動があってこそのショッピング体験を顧客は求めているのだろう。

今、ワークフロムホームの徹底が議論されている。確かに自宅からの仕事をすることには多くの利点がある。しかし、一方で欠点も多くあることが分かってきたのだ。今、コロナが治れば再び出勤したいという人が半数以上もいる。

私は、人間がどのようにストレスを発散するかという観点からこの問題を考えるとわかりやすいと考える。

つまり、仕事をすると必ずストレスが起こる。それを発散する時に1人で家にいるとこれを発散するのは困難だ。一時期、ネット宴会が流行ったが、今はほとんどがしていない。なぜか。オンライン飲み会だとストレス発散できないからだ。これは私も経験者として実感する。

会社にいれば誰かに少し愚痴ることでストレス発散になったりする。またくだらないうさわ話がストレス発散にもなる。こういうことはオンラインではあり得ない。

ネット上で自分の持つストレスを発散できるのはZ世代より若いデジタル世代に限られるのではないだろうか。彼らのように常にリアルとネットをリンクさせているとストレス発散の方法はネットだけでもできるかもしれない。しかし彼らでもやはり実際に集まって飲みたい、おしゃべりしたいと思っている。だから路上飲みしているのでは。

主目的は違ってもストレス発散に必要な場が、レストランであり、喫茶店であり、そしてショッピングセンターなのだ。

モノを買う、ご飯を食べる、お茶を飲むという行為が主目的ではなく、ストレス発散がメインで集まりたいという人が普通なのではないだろうか。

買い物の場という視点から、小売店舗を見ると確かにネット通販に負ける。しかし、ストレス発散の場という観点から、小売店舗を見れば、ネット通販に圧倒的に勝てるのだ。

今の世の中はストレスでいっぱいだ。そしてそれを解決するために消費がある。エッセンシャルな買い物でもストレス発散できる可能性はある。同じお金を使うなら、同時にストレス発散もできると嬉しいに違いない。

ショッピングセンター、百貨店はこれまでお客様に夢を提供する場とも言われてきた。これからはディズニーランドと同じく、夢を見て、現実を忘れ、ストレスを発散するというプロセスを強く意識することが求められる。

色々あるけど、やはり中国マーケットは大きく、面白い!

世代論からみる中国マーケットは面白い

今回、私が所属するセンシングアジアから数回に渡って、中国のY、Z世代を中心に消費の現場から見た世代ごとの考え方、行動のレポートをお届けする。
第1回は中国でのオーラルケアマーケットについてである。


中国では世代、地域ごとにオーラルケアの考え方、行動は大きく異なる。日本のようにオフィスでランチタイムに歯を磨くということはまだ多くの中国人には考えられないようだ。北京、上海でも外資系に勤める若者などではその動きは見られるが、一般の会社ではその動きはない。

これは外から見ると、今後、ますますオーラルケアマーケットは伸びていくということだ。日本でもランチの後に歯を磨くというのは20年前にはなかった行動だ。歯を磨く行為が増えれれば、歯磨き粉、歯ブラシの消費は増える。こういう行動が全地域で広がれば、とんでもないマーケットになる。イノベーションがなくても行動が変われば、一気にマーケットは広がる。

日本でもJINZの田中社長が話されているが、メガネの需要も昔の1人1つのメガネを持つという固定的な考えから、1人で用途に合わせて3、4つと持つことでマーケットは人口減少下でもどんどん増えていく。メガネをかけない人に紫外線カットのメガネ、パソコン用のメガネを販売すればマーケットはますます増えるのだ。

中国のように、今後大きく成長が見込まれる2級都市以下の地域での消費をどう捉えて、どうマーケティングしていくかは大きなビジネスチャンスと言える。

詳しくは下記のサイトから読んでいただきいたいが、ポイントは中国を一つの大きなマーケットで見てはいけないことだ。細かく世代、地域ごとに見てもはるかに日本より大きなマーケットであり、そこにWEBであれば簡単に参入はできる。しかし、成功するためにはやはりリアル店舗がまだまだ必要であることがお分かりいただけると思う。

https://www.sensingasia.com/topics/20210929.html

日本でもこれまでのマーケットが飽和していると考えていても、人々の行動が変化すれば一気にマーケットが広がる可能性はあるかもしれない。
アフターコロナでの行動変容が大きなチャンスと言える

アフターコロナの飲食、小売のキーワードは紹介会員制

大きな成長を求めるのではなく、サステイナブルで、程よい成長を求めるビジネスモデルこそ、会員紹介制だ

先日、コロナ禍ではあるが、久しぶりの友人と会食しようというこになった。しかしどこも営業は自粛しているし、営業しているお店は怖いなあと思っていた。

しかし友人から紹介をされた会員制で紹介がないと予約できない焼肉屋さんを思いだした。そこは個室ということなので、コロナ対策としても安全と考えて予約をお願いして行ってきた。

場所は東京、京橋だが、住所も電話番号も非公開という焼肉屋さんであった。
詳しくは下記の他の人のブログを参考にして欲しい。

https://tk-medical-news.com/shinshinkiei-ebisu

確かに、東京都の緊急事態宣言中にアルコールを提供することはいけないのかもしれないが、コロナ対策としてはほぼ完璧だと思った。
まず紹介会員制だからという安心感がある。そして個室でしかも3部屋しかないのでそもそも他のお客さんとまず会わない。また今回は2人だったので、大人数でのグループ会食でもなかった。ここでは最大6人までOKとのことだったが、やはり今は4人以下がベストだろう。

お値段だが、高級な黒毛和牛がコースで提供され、しかも焼き師が丁寧に焼いてくれる。フィレ肉にキャビアが乗った料理は初めて食感で最高だった!

最後に冷麺、デザートがついて大満足のコースだった。
そして飲み物は+2000円でなんでも飲み放題。カヴァらか白、赤ワイン、焼酎、ウイスキーと一流ブランドが揃っている。これで1人税込18700円(アルコールなしだと16700円)とはコスパ最高だった。

東京でお寿司屋さんで食べるとこれだけ飲むと3万円はする価値があったと思った。

このお店の特徴はやはり、一見さんお断りで紹介会員制だ。

確かに、この店の会員になるのは誰でもというわけにはいかない。でも値段はそこまで高くもない。だからこそ、なんとかして一度は行ってみたいと誰でも思ってしまうのだ。

先日も次回の予約をしようとしたら、11月まで一杯ですと言われた。それで空いてる日を予約して店を後にしたのだが、なんとなく次が待ち遠しい感じだ。

コロナ禍であろうとこういうビジネスモデルであれば、顧客も安心だし、お店側も紹介が基本なので、そんなに変な人は来ないだろうという安心感がある。

しかも、毎日人数限定でコース料理のみだから、食材などを廃棄することもない。
とても地球に優しい、SDGSのレストランモデルだと感じた。

思えば、バブル時代に六本木や麻布で大人の隠れ家的な会員制のバーなどが流行ったことがある。その時のバーはお酒と雰囲気を楽しむのがメインで、やはり値段は高級で普通の人には手が出せないレベルであった。

今回の会員制は昔の富裕層だけしか来れないという金額ではなく、少し背伸びをすれば誰でも手の出せる金額となっている。

でも紹介がないといけない。ここがポイントだろう。

同じことが私が愛用しているクッキーの村上開新堂だ。

https://tabelog.com/tokyo/A1308/A130803/13053861/dtlrvwlst/B439402829/?lid=unpickup_review

このクッキーも紹介がなければ買うことができない。クッキーも確かに高価ではあるが、手が出せないほどではない。今はメルカリやヤフオクで売っている時もあるが、なかなか手に入らない。

https://www.mercari.com/jp/items/m93176288755/?gclid=Cj0KCQjwu7OIBhCsARIsALxCUaMdMj9EQl_W-B1hvY8pAuWjV4jE5moSpVKpNtok4I0kQLTke4BTU_EaAgmREALw_wcB

私が紹介をいただいて会員になったのが4年ほど前で、それ以降、定期的にお届け物とし購入しているが、毎年予約してから届く期間が伸びており、今は1年半ほど待たないと手に入らない。

この紹介は、会員が新しい人を紹介できるのだが、他の人のブログを見ると1年に1人しか紹介できないようになったみたいだ。

もう次回は2年待ちになるのではないだろうかと思う。それほどの人気なのだ。この理由は生産を増やしていないからだろう。いわゆる、売れるならどんどん生産を増やして、売り上げを伸ばすという資本主義の流れに乗っていないことだ。

だからこそ、人気が続くのだ。

限定商品というのはいつの時代でも顧客の心に響く。

今だけ、ここだけ、あなただけなのだ

最初の焼肉屋さんはどんどんと店舗を広げているようだ。しかしこの店舗もそんなに増やせないだろう。多分、次の手は違うジャンルのレストランで同じ紹介会員制を取るのではないだろうか。

これからの時代は、大量生産、大量販売ではなく、特定少数に向けた無駄のないサービスの提供が求められているように思う。

長年マーケティング戦略を実践してきた人間として、この紹介会員制というのはこれまでとは全く違う概念として、SDGS,サステイナブルビジネスモデルとしていろんなところで使えるように思える。

クラウドファンディングも一種の会員制なのかもしれない。一つの商品を支援するコミュニティとしての会員がお金を出し合うだ。

小売企業に今求められるのは、紹介会員制という仕組みを既存のどの商品、サービスに組み込むと顧客の背中を押すことになるのかを考えることだと思う。

クローズドのサークルに入れるかどうかが、シリコンバレーで投資をするためには必要だが、それが一番難しいという話をふと思い出した。

やはり、人の繋がりを大事にするというのがアフターコロナには本当に重要なファクターになりそうだ。

もう成長一辺倒の時代は終わりなんだろう!

ノジマ電器について思う

ノジマの社員は本当にお客様の味方なのか??

CMを見ていていつも思うのだが、ノジマの売りは販売員が全員社員であること。取引先からの応援者がいないから、お客様の身になって商品をご提案できるということだ。つまり押し売りはないということだ。

これは本当なのか。

デパートの紳士服売り場で取引先からの派遣販売員と一緒に販売していた時を自分を思い出す。

今から30年以上前はデパート、特に紳士服売り場では百貨店の社員が自分で仕入れて自分で売るのが普通だった。私は新入社員でジャケット&スラックスの売り場に配属されて、毎日スラックスをメインに売っていた。

その当時、ダーバンなど数社から派遣社員もいて、みんなで販売していた。当然、取引先から派遣された販売員は自分のブランドの商品を売らないと成績にならない。だから、できるだけ自分のブランドを勧めていた。しかし、私の経験ではどの販売員も押し売りをしてクレームが来たという経験はない。

例えばジャケットを売る時、お客様に最後に3つぐらいの候補をお見せして、お客様にいいところ、悪いところをお伝えしながら、その中に自分のブランドを必ず一つ残して、最終的に自分のブランドのジャケットをお客様が選ぶように仕向けていた。これが販売テクニックだ。

ほとんどのお客様は満足して購入されて帰っていった。

新入社員だった私は、そのテクニックを押し売りだと最初は思っていた。そして、ノジマの社員と同じように本当にお客様のご要望にあった一着をご提案できるのは、百貨店の社員である私だけだと思い込んでいた。

しかし、実際に販売の場面では、結局お客様のご要望に合わせると最終的にどれをご提案していいのかわからなくなるのだ。商品にはやはり一長一短があり、完全にお客様のご要望にぴったりのものはない。そして、いつまでもお客様のご要望ばかりを聞いていると、ついにはお客様も私もどれがいいのかわからなくなり、結果販売につながらず、売り上げにもならないことが多かった。

一方で取引先派遣の販売員はテクニックを使いながら、お客様のご要望をうまくリードして自分の思い通りの商品を販売していた。

果たして、本当にお客様のご要望にそった販売とは何だろうかとその時に思った。

そして、その後自分にも販売テクニックがついてきたところで、当然仕入れているブランドの個別の目標に合わせて結局はお客様のニーズ、ウオンツにあわせながらも、売りたい商品を販売している自分がいた。結局、やっていることは取引先派遣の販売員と変わらないのだ。

ノジマの社員が本当にお客様側に立って販売をしていたら、売り上げの効率は確実に低いと言える。やはり、限られた品揃えの中でいかにお客様に最大の満足を与えながらお買い物をしていただけるかが販売のプロではないだろうか?

それなら、ジャパネットたかたの方が、炊飯器ならこれを一押しという形で売っていく方がいいのかもしれない。

あまり、お客様に選択の自由を与えすぎると、かえって選べなくなる。

これが販売の面白いところかもしれない。

まあ、こういう経験は今の百貨店の社員hがしたこと少ないだろう!商売人じゃないだよな。それだと!

ノジマの社員は商売人と言えるかもしれない!がんばれノジマ!

小田急百貨店がなくなる!

電鉄系の小田急百貨店が閉店!

ついに小田急百貨店が閉店を発表した。

https://news.yahoo.co.jp/articles/afac8422f6c4e246f06ed2480784e510671cdf19

詳しくは上記の記事を読んでほしいが、2022年9月で営業を終了する。
この動きは加速するような気がする。

というのも都心の電鉄系百貨店のビルは再開発の時期に来ているからだ。
既に東急百貨店は渋谷の駅のお店はないし、京王百貨店のビルも再開発の対象だ。

池袋でも西武、東武百貨店のあるビルでも再開発の計画はあるだろう。

結局、もう駅ビルと百貨店の違いがなくなってきたのが原因だ。
昔なら、百貨店にしか入っていない商品がたくさんあったが、今ではどんどんその分野が減ってきた。ラグジュアリーや高級時計、美術工芸品などしかなくなった。

デパ地下といわれた食品フロアも駅ビルで同じようなラインナップが揃うようになった。

これは一つに施設のオーバーキャパもあるのではないだろうか。
コロナ後を見据えると、もう物質文化から精神文化へと移る気がする。

また、中流消費文化も終わりを告げようとしている。
そういう中で、あまりラグジュアリーにも強くなく、外商組織も強くない電鉄系百貨店の存在意義はなくなってしまったのだ。

しかし、それは老舗呉服系の百貨店にも同じことが言える。

百貨店という言葉の定義をもう一度、再設定する必要があるように思える。
コロナ後に求められる百貨店とは何かを、今いる業界の人たちは真剣に再定義するときではないだろうか

本当の意味での高級百貨店を作ろう

K字経済ではLVMHをベンチマークする必要あり

日本には本当の意味での高級百貨店は存在しない。

昔、若い頃にニューヨークのブルーミングデールズに日本の百貨店の人間はよく行っていた。
当時は百貨店劇場論というのがあり、百貨店の売り場は舞台であり、販売員は演者であり、いかにお客様に感動と興奮、満足感を与えるのか、それを場の雰囲気と演者のサービスで実現するのだということであった。

その象徴がブルーミングデールであった。
特に年に数回開かれる海外展はそのスケールや買い付けた商品のバラエティさだけでなく、その国の文化なども提供されており、まさに文化を伝えるイベントであった。

そんな中、ブルーミングデールはNYで最高級の百貨店ではなかった。サックスやバーグドルフグッドマンの方がより富裕層を相手にしていた。

だからこそ、日本の百貨店にはブルーミングデールがぴったりだったかもしれない。

いまや、NYの百貨店もかつての勢いはなく、日本と同じような状況になっている。

しかし、今回パリでLVMHがオープンさせたサマリテーヌはこれからの百貨店の生きる道を示す一つの方向だろう。
詳しくは下記の日経の記事を読んでほしい。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR24EYO0U1A620C2000000/

中流社会が終わりを告げている。特にコロナ後の社会でさらに貧富の差が激しくなるだろう。
いわば、欧米のようになると言うことだ。つまり、特定少数の富裕層と中流以下の大衆に分けられるのだ。だとすると、日本で今のような大衆を相手にしている小売店は必要とされない。

で、日本にはなくて海外にある百貨店は何か?

本当の富裕層を相手にした百貨店なのだ。

昔はこう言う百貨店は必要とされなかったし、そもそも日本の社会では受け入れられなかっただろう。しかし、コロナ後の社会は違う。

そして、最も大事なことはこれまでの百貨店の外商などのお客様は海外から比べると、大したお金持ちではなかったと言うことだ。

そもそも百貨店の外商顧客は医者、弁護士、資産家などの人たちで構成されている。しかし今の世の中で、資産を10億、100億と積み上げているのは30歳前後の若いIT世代、金融関係の世代だ。

彼らは普段、スーツを着ないし、欲しくもない。車もフェラーリとかに乗りたい人は少ない。

でもリシャールミルの時計はほしいのだ。最低でも1000万近くする時計で、自分のほしいモデルを気長に待つらしい。

こう言う新しい富裕層にとって居心地の良いサードプレイスになるのが今回のLVMHが目指しているサマルテーヌではないだろうか。
実際に私はこの目で見ていないので、なんとも言えないが新しい富裕層というのはコロナを境に多く生まれている。彼らにとってのサードプレイスづくりをどの小売業が仕掛けられるのか。

こういう店は日本にいくつも必要ない。例えば銀座のGINZA6も一つの事例だ。
この店の存在価値は銀座の中央通り、6丁目のど真ん中にあるからこそ、価値がある。だから同じコンセプトのお店はもう存在し得ない。

今必要なのはコロナ後に生まれた新富裕層のためのサードプレイスづくりだ。