シリーズ#06 コトラーのリテール4.0を読み解く

コトラーの本でもわかりにくいところがあり、残念!不可視であれってわかりにくい!!

さて今日から、この本のメインである、小売業にとって大切なキーワードである、10の原則について話を進めていこう。
第1の原則は「不可視であれ」だ。この言葉そのものを最初見た瞬間にわかりにくいなと。これはアウトだ。

私の分析では、この本は結局大半をイタリア人が書いて、それをコトラー氏に監修してもらったからこうなったのか、日本語版訳者がイタリア語から日本語への訳として良い言葉が思い浮かばなかったのか、どちらかである。どちらにしてもわかりにくいことは一番ダメだと私は思っている。

この意味は、今日の私の経験で説明できる。
今朝、真鶴の自宅に特別給付金の申請書類が湯河原町から届いた。ちょうど、今朝のテレビでこの申請をマイナンバーでするためにマイナンバーのパスワードを忘れた人が大勢東京の区役所に押しかけて、区役所が大変なことになっているとのことであった。
さて、私はマイナンバーを持っているし、パスワードもわかっているので、早速PCで申請しようとトライした。しかし、申請をしようとしたら、アプリの登録がまず必要だとわかった。またそのアプリはどうもPCよりもスマートフォンの方が相性が良さそうだと気づき、またスマートフォンからアプリをダウンロードし、そして申請手続きをに取り組み始めた。しかし、どうも途中で何度も同じ画面でスタックし、結局また最初から申請をすること2回。もうちょっとイライラしてきた。そして、ある程度進んだところで、自分のマイナンバーカード、銀行のキャッシュカードをカメラにとって添付しないといけなかった。ここでもわかりにくく、一度スタックしかけた。でなんとか、そこをくぐり抜けると、どうも住所などの登録の画面で何か間違ったのか、またスタックし、結局また最初の申請画面になった。
もう、これはダメだと感じ、郵送での申請に変えることにした。
郵送での申請はアプリに比較すると、シンプルであり、スムースに手続きをすることができた。
まあ、マイナンバーカード、キャッシュカードをコピーする手間やそれを申請用紙に貼り付けたりする手間はあったが、作業そのものはスマートフォンでの作業に比べたら、まさにシンプルであった。


で結論。
総務省の作ったこのマイポータルというアプリは全くUX(顧客に対しての使いやすさを考えたシステム作り)ができていないということだ。私は申請を郵送に変更しながら、今マイナンバーで申請しようとしている人たちの中で、これから申請をネットで完結できる人がどれくらいになるんだろうと思ったこれがこの本の第1の原則「不可視であれ」のポイントである。
不可視であるという意味は、企業、小売業が顧客に提供するシステムや仕組みは顧客にとって、使いやすく、簡単で、イライラしないでスムースに手続きができたり、買い物を済ますことができるようにすることである。お客様に舞台裏は見せてはいけないということだ。
何でもそうだが当初のシステムはシンプルだが、色々な顧客の要望に応えるためにはどんどん複雑な仕組みになってくる。
しかし、その時のシステムや仕組みは顧客にとってはどうでもいいことだ。つまりややこしい仕組みは顧客には目の見えない所で済まして、顧客にはシンプルな形でサービスを提供することが大切なんだと説いているのである。
今回のマイナンバーカードの仕組みもそうだ。マイポータルというアプリはその典型である。完全に仕組みは作り手の目線で作られている。だから、非常にわかりにくい。だから説明を受けないと全然わからない。
実際、昨年7月に東京から真鶴に引越しをした時に、マイナンバーカードの住所変更を役場で行ったが、この時の手続きも複雑で、担当している町役場の女性ですら困り果てていた。
だから、今、長蛇の列が役所でできているのであろう。

小売業にとって画期的なデータが取れる仕組みができたとしても、それを取るために従業員、お客様に面倒な手続きをしてもらうことになるようなことは絶対にしてはいけないのである。
しかし、これまでの小売業は昔からのデータ管理を元に、そこに新しい機能を付け加えることで顧客データの精度を高めようとしてきたのである。これまでの投資を無駄にしたくなかったのだ。またこれまでのシステムを捨てて、最新の仕組みに変更できるだけの体力のある小売企業というのは数少ない。


今回のコロナでもそうだが、結局この中でも売り上げを伸ばしているのは、使い勝手の良い通販の仕組みを持った企業だ。
アメリカでもアマゾンが一人勝ちのように思われがちだが、デリバリーの急増に物体制がすでに対応できなくなっているようだ。一方でネットで注文して、店舗でピックアップするという、ウオルマートの方がデリバリーの負荷がかからずに、スムースに手渡しが出来、しかもドライブスルーだから安全ということで大人気だということである。まさにハイブリッドな小売業である。

チャットボットというAIを使った自動応答システムもそうだ。顧客の不便さよりも新しいデジタル技術を取り入れることに重きをおいている企業も少なくない。これも酷い仕組みが多い。シンガポールのDBSというハイテク銀行でも取り入れているが、何回トライしても全く役に立たない。
大事なのは自分たちがやろうとしていることは、常にお客さまのストレスを取り除くということに向いているのか、そして実際のお客様はどう感じているのかを確認することだ。


前述の給付金の件は日本の人口構成から言えば、お年寄りが過半数を占める。私の経験で言えば、今回は郵送の方が絶対に楽でスムースである。政府はむやみにオンライン申請を促すのではなく、顧客体験に基づいた取り組みが必要であり、それを忘れているような気がする。

「不可視であれ」という原則は今のNetflix、Spotify、Facebook、Amazonなどを利用していると本当に便利だと感じる。どのデバイスからでもストレスなく、前回の注文履歴、カートに入ったままの商品がチェックできるのである。
わかりやすさというのがコトラーを私が大好きなところだが、これは顧客にとってもそうなのだ。

日本の政府のデジタル化対応はまだ当分時間がかかりそうだが、何とかなるのだろうか???

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です