コロナ禍における芸術活動はどうあるべきか

私が芸術を語るにはあまりにも役不足だが、ここ数年はクラシックコンサートやオペラ観賞にちょくちょく通っていた。

そのきっかけともなったのが、妻の知り合いで親戚のようなお付き合いをしている方が真鶴のご自宅でこれまで毎年2回開催されてきた真鶴音楽会である。

この音楽会は小林美恵さん
https://miekobayashi.com/

という有名なヴァイオリニストをメインに、ピアノやフルート、ギターなどの演奏家を招いて、観客が60人ほどのミニコンサートを開いている。

もともと音楽の世界、特にクラシック音楽はマーケットが狭く、一般の人にはとっつきにくい。
私もそうだった。

しかし、この音楽会では一流の演奏家が最高のバイオリンで演奏するのを、ほとんど目の前で聴けるという贅沢な会だ。

また演奏会の後は演奏家を交えて、別荘のようなお家でお食事をしながら皆さんとお話ができるので、さらに親近感が湧いてくる。

このような活動が大きくなると、クラシック音楽をもっと身近に感じてもらえるのではないかといつも感じていた。

しかし、今回、コロナによって全ての演奏会は延期となった。

小さい会場こそ、三密だからだ。しかしこのような状況は音楽家にとっては本当に死活問題だ。

私もコロナ禍に音楽活動をどうすれば良いのかとマーケティングに携わる者として何かいいアイデアはないかと悩んでいた。苦境にあるレストランビジネスと同じでリアルの場所がないとビジネスにならないからだ。

お茶のお稽古も同じだった。お茶の醍醐味である一期一会はリアルでないと実感出来ない。このよう文化芸術にはなかなか政府の援助も届いていない。
今こそ芸術文化の分野にも新たなビジネスモデルが必要とされている。

最近ではYouTubeなどを使った有料コンサートなども出てきたが、なかなかそれではペイしない。
もっとリアル感と言うか、リアルよりもさらにリアルな体験ができるような試みが必要なのではないだろうか。


例えば、演奏者の目から見た舞台をバーチャルリアリティで実現するとどんなふうに弾いているのかが、リアルで聞くよりも体験できる。今はVRの技術が進んでいて、このような体験を家にいながらできるようになっている。ピアノが趣味の人にすれば、一流のピアニストの弾き方を演者の目線で見ることはとても感動的ではないだろうか。

先日、早稲田にあるシータと言う会社に行ってきた。VRで進んだ技術を持っている会社だ。
https://www.thetacorp.jp/
なかなか、実際の映像体験はサイトでは感じることはできないが、私の感想はすごいの一言だった。リアリティが半端なかった。問題はヘッドセットを付けないと体験できないことだ。
ヘッドセットでは音楽と映像がシンクロしていてなんともいえない雰囲気だ。
しかしこのヘッドセットが高価であり、プライベートで買うところまでは行っていないのが現状だ。しかしこれが普及する時が、まさにVRの全盛時代の始まりだと感じる。
そのために芸術、文化の分野でもそのためのコンテンツ作りがそろそろ必要だと感じる。

とはいえ、最近ようやくリアルの演奏会ができるようになってきた。真鶴音楽会も場所を白寿ホールに代えて、来月の23日から小林美恵さんのベートーベンのバイオリンソナタ全曲を3回に分けて演奏会を実施することになった。真鶴音楽会の有志による企画だ。
やはり、生で聞く演奏に勝てるものはない。まずはここからが再スタートだが、やはり次の時代に向けた取り組みを自分でも考えていきたい。レストランビジネスも全部同じ課題なんだと。

読者の皆さんでご興味のある方はぜひ演奏会に足を運んでいただきたい。
ソーシャルディスタンスの取れたゆったりとした環境の中で、素晴らしい演奏に身をおくのも良いのではないかと。今の演奏会は本当に観客と演奏家との距離が近い。それを実感できるのは今だけかもしれない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です