幸せの形は人それぞれだが、必ず必要なものは真の友達、仲間がいるかどうか
先日、入院していた時の同部屋だった方を伊豆下田まで訪ねた。
伊豆下田といえば約20年前、慶應MBAでの財務の合宿で辛い思いをした場所だ。で、それを思い出すべく今回も同じ下田東急ホテルに泊まることにした。
私は、今は真鶴を拠点にしているので、伊豆下田まではそんなに時間はかからない。でも湯河原駅から特急踊り子に乗って1時間半かかる。やはり下田はなかなか遠い場所だ。
今回の目的は久しぶりの東急ホテルがどうなっているかを見ることと同室だった友人が下田で経営するカフェを訪ね、一緒に飲むことだった。
まず病室のルームメートだったSさんは今年72歳のミュージシャンだ。今はカフェでパスタを作りながら、定期的にコンサートを開いている。ジャンルはブルース。
私が交換留学先のシカゴでブルースバーによく行っていた話から盛り上がり、共に一緒に過ごした入院生活、約1週間は毎日8時間以上お話しを2人でしていた。
Sさんの人生をお聞きしたり、私の話、病院の話、病気の事などいろんな話をした。Sさんはお酒が好きで、私も嫌いではないのでいつか飲みたいですねといつも話していた。シラフでよく話せますねと看護師に馬鹿にされていた。
コロナ禍で病院では面会禁止で、他の人は家族でも来れなくなっていたので、いつも2人で院内のコンビニでコーヒーを朝7時に買うのが日課であった。
Sさんはミュージシャンを目指していたので、私のようなお決まりの会社員人生ではなかった。下田には44歳の時に下田にいた今の奥さんと結婚して婿養子となり、名前も変えられたそうだ。それまでは色々ところを転々としながらも、演奏活動をメインに生きてこられたとのことだった。
だからYouTubeにはSさんの昔の名前のステージ演奏の動画が今でもたくさんアップされている。
Sさんの話でいつもすごいなあと思うのは、必ず人生の節目節目で多くの人に助けられているいうことだった。
最高の出会いは今の奥さんとの出会いだとは思うが、それまでにも多くの苦労があっても友人の助けをもらってやってこられたと。
こういう話を飲みながら聞きたいなあと思っていたので、今回、下田に行って飲みながら話を聞き、弾き語りを聞きたいのが今回の目的だ。
下田は前述したように距離的に東京から遠く、電車のアクセスも良くない。車で来ても道路の整備は遅れておりまだまだ時間がかかる。
真鶴よりももっと遠い、そんな中でSさんとっても幸せに暮らされていた。
商店街にお店はあるのだが、道行く人は知り合いばかり。
飲みに行ったお店も知り合いのお店。その次に行ったスナックのマスターも知り合い。お客さんもみんな商店街の人。なんとなく息が詰まらないのかなあと思いつつ、でもなんだか本当に楽しそうなのが羨ましくてしょうがなかった。
最後の〆にお店に戻り、弾き語りでSさんのエリッククラプトンのTears in Heavenを聴きながら、いい人生を送ってこられたなあとつくづく感じた。
振り返って自分を見ると、こういう仲間がいるんだろうかととても不安になる。
これまでは会社生活がほとんどだったから、会社繋がりの友人はいるがそれも私の場合、役職を離れると、さーっとなんの連絡もしなくなる人が大半になる。
私は前職を辞めたあと、シンガポールで起業に挑戦して一時期住んでいたこともあり、そこでも友人もいる。また大学院時代の日本での友人やシカゴでの友人もいる。
でも本当にその友達がSさんの周りにいる友人と同じなのかと考えるとうーんと考えてしまう。
商店街の仲間は今でも仕事をしておられるから、定年はない。Sさんも同じでセミプロミュージシャンとして活動は続けながらも、今はカフェのマスター。
会社人生を送ってきた私にはやはりもう一つ別のメインの顔が必要なんだが、それがないのである。
まだまだこれから何か社会に貢献できる、人の役にたつことをやりたいと考えているのだが、なかなかうまくいかない。
今はまだ、会社の顧問や業務契約業務で社会との繋がりは残ってはいるものの、それをSさんのように胸張って言えるものとはいえないと感じる。
自分で胸を張って、今はこれをやっています!と言えるものを早く見つけなければいけない。
コロナ禍で私の人生は大きく変化した。
今の自分にできることとやりたいこと、それに足らないことを加えて、新しい自分の付加価値を作らなければ誰も私に声をかけようとは思わないだろう。
でもそういうときに必ず助けてもらえるのは、真の友人、仲間なのかもしれない。それをネットワークと呼ぶのであれば、そのネットワークづくりをいかにできるかがその人の幸せの度合いに差が出てくるように思う。
素晴らしい人には素晴らしい人が集まる。努力する人には努力する人が集まる。魅力のない人には誰も集まらない。
やはり自分を常に磨くことが大切なんだろう。
でもそれが難しい。。
私も今からは嘆く前に、再度自分を磨くことに努力していきたい。